山下達郎と時代適応力

 今朝(2015/08/22)の朝日新聞土曜版beの逆風満帆は,ミュージシャン山下達郎さんの(中/下)でした.記事の内容は,彼の空白の3年間(1995年~1997年)のことについてでした.詳しくは記事を読んでいただくとして,この空白が生じた,二つの理由・背景を述べていました.

 一つは,彼が1994年までに育て上げてきた「創作のための,理想のリズムセッション」の完成度が高くなったがために,そのセッションに対して,他のミュージシャンからオファーが出てきたことす.もう一つの理由は,「創作のために作り上げてきたアナログ手形技法」が,音楽創作のデジタル化にそのまま適用できなくなってきたことです.記事では,「鑿(ノミ)と鉋(カンナ)で仕事をしてきた職人が,突然今日からレーザーミスを使えと言われたようなもの」と表現しています.「創作のための,理想のリズムセッション」や「創作のために作り上げてきたアナログ手形技法」などは,彼のラジオ番組(日曜午後)の語りから,その凄さがわかります.

 さて,「創作のための,理想のリズムセッション」へのオファーや「創作のために作り上げてきたアナログ手形技法」が通じなくなる現象,は情報産業の分野にも当てはまることがおきています.前者は,特定の会社の下請けだと思っていた部品メーカーが,他のメーカーから引き合いがきて,どんどんと成長していく話のパターンです.たとえば,パソコンのチップ製造会社(I社)や,自動車部品メーカー(D社)の業績が,パソコンや自動車メーカーより良くなっていくことです.後者は,アナログ技術に固執しすぎて,デジタル化に対応がおくれたカメラメーカーと,上手に対応したカメラメーカーの姿がダブります.

 技術を身につけることも大切だけど,その技術を時代に合わせてアップデートしていくことの大切さを示唆しています.まさに我々に求められていることです.さしずめ,「鑿と鉋で仕事をしてきた職人が,突然今日からレーザーミスを使えと言われたようなもの」は「紙と鉛筆で仕事をしてきた職人が,突然今日からパソコンとインターネットを使えと言われたようなもの」ということでしょうか.でも,「鑿と鉋で仕事をしてきた」こと,「紙と鉛筆で仕事をしてきた」ことも大切にして,変わっていきたいものです.

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